寄稿者
張力制御は単一の機器で完結するものではなく、複数の要素が連携して機能するシステムです。
一部の機器のみを変更しても、制御全体を見直さなければ十分な改善効果は得られません。
本記事では、システムの観点から張力制御の基本構成および統合の考え方について説明します。
1. 張力制御システムの基本構成
一般的な張力制御システムは、以下の要素で構成されます。
- 制動要素(パウダブレーキ)
- 駆動要素(パウダクラッチ)
- 張力制御器
- 張力センサ
- 制御対象となる材料
これらは閉ループ制御として連携します。
2. パウダブレーキの役割
パウダブレーキは主に巻出し側に設置され、以下の役割を担います。
- 安定した制動トルクの供給
- 巻径変化による張力変動の抑制
- 低速運転時や起動・停止時の張力安定化
3. パウダクラッチの役割
パウダクラッチは駆動側に配置され、以下を実現します。
- 滑らかなトルク伝達
- 起動時や負荷変動時の張力ショック低減
- 安定した材料供給
4. 張力制御器とフィードバック機構
張力制御器は、システム全体の「中枢」として機能します。主な役割は以下のとおりです。
- 張力センサからの信号を受信する
- 実際の張力と設定された目標値を比較する
- パウダブレーキまたはパウダクラッチへ制御信号をリアルタイムで出力する
PID 制御やテーパ張力制御ロジックを適用することで、巻径変化を自動的に補正し、工程全体を通じて安定した張力を維持することが可能になります。
5. システム統合時のポイント
統合設計では、以下の点が重要です。
- トルク仕様の整合
- 放熱性能と連続運転条件
- センサ精度と設置位置
- 制御応答性とパラメータ設定
まとめ
張力制御の安定性は、パウダブレーキ・パウダクラッチ・制御器の最適な組み合わせによって実現されます。
システム全体を俯瞰した設計こそが、信頼性の高い生産ラインを構築する鍵となります。




